ショートショートバトル 5KBのゴングショー第150戦勝者
sleepdog
サンタクロースが入ってくるのを、七人の兄弟は煙突の前で待っていた。居眠りしそうになれば、お互い体を揺すり合いながら。長男はノッポで、あとはチビ。長男は心に決めていた。今夜こそは。今夜こそ。今夜こ 「――兄ちゃん、来たよ!」 弟たちが一斉に叫ぶ。暖炉の灰が舞い上がり、赤い服の老人が姿を現した。 「何だ、お前たちはずっと起きてたのか」 老人は笑い背中に担いだ袋から銀色に輝くリンゴ大の星を一個取り出した。一つだけどんな願いも叶う星。普通は空にあって届かないけど、今夜だけサンタクロースが少しもぎ取ってくれるのだ。 「さあ、願いを言いなさい。一つの家に一個だからな。大切なことを言うんだぞ」 真っ赤に充血した弟たちの目に囲まれながら、長男はついに星を受け取った。初めて触れた星はほのかに温かく、手の中で透き通るような美しさを放っていた。長男は一呼吸置き、弟たちの顔を確かめる。そして、今夜のために兄弟で話し合って決めた願いごとを星に託した。 「星よ――俺を総理大臣にしてください」 「僕はそのコネで代議士になります」「僕はそのコネで社長になります」「ボクはそのコネで重役になります」「ぼくはそのコネで運転手になります」「ぼくはそのすねでだいがくせいになります」「ばばぶぶぐぼば」 |
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