ショートショートバトル 5KBのゴングショー第44戦勝者

「人生」

ryou

「よし。昼飯はここで食おう」
父さんが指差したのは最近、オープンした「とんこつラーメン」という店だった。
僕は、お寿司の気分だったけどしかたなく、OKした。
父さんと母さんは、2ヶ月前に離婚した。 僕はいちおう母さんのとこにいるけど、たまに父さんと会ってお昼ご飯を一緒に食べていた。 もちろん、母さんには秘密だ。
今日がその日だった。 とってもいい天気で、とっても爽快な天気だった。
店にはいると、店員さんが「いらっしゃいませ〜」っと言ってせっせと、テーブルまで案内してくれた。
イスに座ると、父さんはメニューを見ながらタバコを吸い始めたので僕は
「やめなよ。 母さんが言ってたよ。タバコはよくないって。」
「気にすんな。お前もいつかタバコがおいしくなる日がくるさ。」
しかたなく、僕は灰皿を父さんのほうへ渡した。
父さんが、離婚した理由にタバコがあった。 母さんはタバコ嫌いでよくそれで、もめていた。
でも、そんなに仲が悪かった訳じゃない。 けっこうそれでも2人はいい感じだったし、僕もそんな2人はいいな〜と思っていた。
「なににするんだ?」
父さんが、太い声で尋ねた。
「う〜ん。ラーメンじゃなくて、この焼肉定食がいいな。」
「父さんもだよ。なんか、中華丼がいい。」
少し、メニュー全体を見てから
「よし。焼肉定食と中華丼と生ビールと……、お前、なににする?」
「父さん、やめなよ。ビールなんて。」
「いいんだよ。 お前は、コーラね。」
店員さんは、オーダーを確認するとせっせとほかの所へ行ってしまった。

少したって
「でもさ。ラーメンのお店で、中華丼なんて。変だよね。」
僕は尋ねた。
少したってから、父さんが
「人生、そんなもんさぁ。」
その言葉に僕は、父さんを一瞬、尊敬してしまったのだった。

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