ショートショートバトル 5KBのゴングショー第255戦勝者
九基住友
ダジャレンジャーの放映が終わって、はや3年。 その間にいくつものヒーローが現れては消えていった。 でも結局、ダジャレンジャーほど子供たちを熱狂させる、いやお子さまではなく、お母様方を熱狂させるヒーローは現れなかった。 それで、この夏、ついにダジャレンジャーの劇場版が公開されることとなった。 思えば、ダジャレンジャーは好評だったのに、アミューズメントパークのアトラクションでの事故がきっかけで、二年目突入を目前に打ちきりになった。 今回、映画を作成にするに当たって、問題だったのはダジャレッドが太ってしまったということだった。それも半端なく。 あの事故の原因はレッドにある。そういう風になってしまった結果、彼のその後の仕事は非常に限られたものになってしまった。 仕事がないと、食べることでストレスを解消しようとするタイプだったのだ彼は。さすがに元ヒーローなので、酒場でべろべろになるほど飲む、というような形での発散はできなかった。彼は非常にまじめだったのだ。それで豚のようにブクブクと太ってしまった。 昨今のテレビ業界事情もあって、この映画が当たるか当たらないかは、このヒーロー枠の存続に関わっている。 だから、制作発表後、レッドのダイエット大作戦は熾烈を極めた。 しかし、いや、やはりというか、ヒーローである。何かを守る、ということがあれば、想像を絶する苦難にも立ち向かえるのだった。 無事、ダイエットを果たしたレッド。 しかし、それが彼の健康をどれだけ蝕んでいたのか、気づくものはいなかった。 クランクアップし、公開イベント初日のアトラクションを終えた後、レッドが帰らない人となったとき、映画の成功は約束された。 レッドは身を挺してヒーロー枠を守ったのだった。 おわり |
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