ショートショートバトル 5KBのゴングショー第25戦勝者

「銃声」

大西圭祐

「今日は、こいつだ。」
俺の手には若い女の写真がのっていた。
「何でこいつを??」
「そいつは少し知りすぎた。はやくしねえと、警察がすぐにかぎつけちまう。」
どうやらこの写真の女は刑事らしく、この組織を追っているらしい。
「幸い、こいつはまだお前を知らない。お前しかいねえんだよ。」
俺は写真を見つめながらうなずいた。

俺の職業は『殺し屋』といったところだろうか。あらゆる奴、あらゆる組織からの『殺し』の依頼を受け付けている。今まで、その依頼に忠実に答えてきた。
今回依頼のあったところは、俺を昔から信用してくれてる馴染みの深いところだ。いつもここからの依頼には全力で取り組んでいる。信用してくれる奴を裏切る訳にはいかないからだ。

俺の仕事はいつも調べ作業から始まる。これから殺す奴の事を入念に調べるのだ。今ちょうどその作業を行っているところだ。
名前は、『森下琴美』。血液型はB型。身長162.5cm。体重55.3kgか、、、わがままなお嬢様タイプかもな。
その他に住所や、家族構成、出身地など、たくさんのデータが俺の頭にインプットされた。
「よし!!そろそろいいかな。」
俺は車に乗り込み、早速、任された仕事を開始した。

森下のマンションに着いた。派手さはないが、清潔なマンション、というのが第一印象だ。
「さてと、、、、、」
手袋をはめ、拳銃、毒ガス、ロープなど、必要なものを確認し、俺はマンションに侵入した。

森下の部屋のカギをはずし、慎重にドアを開けると、まだ明かりがついていた。
どうやら自分の部屋にいるらしい。でもそんなことは関係ない。速く殺さなければ。
森下の部屋のドアをそっと開け、2、3歩、歩いたところで森下が気付いた。こっちを振り向いたのだ。
俺が素早く銃を森下へ向け、引き金に指を引っ掛けた瞬間、俺をものすごい心臓の鼓動が襲った。
「、、、、、く!!」
撃てない。なぜだ、、、、
俺は銃から森下へと目をむける。さらに鼓動が速くなる。
「??」
森下が必死に警察手帳を見せている。
「わ、私は警察なのよ!!!ば、バカなマネはよしなさい!!!」
鼓動が気持ち良くなってきた。こんな気持ちは何年ぶりだろう。
俺は森下に恋をしてしまったのだ。
「逃げるぞ!!」
「え??」
俺は森下が殺されるところなんか想像したくなかった。
「お前はここにいてもじきに殺されるんだ!!!逃げるぞ!!!」
「、、、、」
だまって森下はうなずいた。
車に乗り込み、エンジンをかけ、出発した。

森下に今までのことを一部始終話した。
「へえ、、、、、でもなんで私を助けたの??」
俺は迷わず、
「感謝しろ。俺はお前に恋をした。俺がお前に恋をしてなかったら、今頃は大変なことになってたんだからな。これも運命だ。」
「、、、、、、、」
森下はこちらを向かず、車のドアから外ばかりを見つめていた。
俺はその姿を純粋にかわいいと思えた。



大下俊雄 52歳。
スーパーマーケットで買い物をした帰りに何ものかに襲われ死亡。

森下琴美 28歳。
大下俊雄を殺した犯人を追う。

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