ショートショートバトル 5KBのゴングショー第248戦勝者

「すとらうべりぃしょぉとけぇぃき」

あんあんなんかん

「もう私、ストロベリーショートケーキしか食べない!」
夏子はそう宣言しました。
「あら、なっちゃん、本気なの?」
「うん」
「モンブランとかブッシュドノエルとかシフォンとか・・・」
「そんなのいらない。ストロベリーショートケーキだけ食べたいの」
「わかった。明日からストロウベリィショートケイクしか、なっちゃんにあげない」

夏子は引きこもり歴3年。
最初はいじめがきっかけで、不登校になったのだけれども、それ以後の唯一の居場所である某巨大ネット掲示版2チャンエルで「日露戦争」してしまい、ヒッキーになったのだ。
母親は前年死去し、母親代わりの姉の秋子にとって、彼女はもっか最大の懸案事項なのだ。
様々な手を尽くしても夏子をリアルワールドに引っ張り出すことができない。
なぜなら、2チャンエルに対抗している新興掲示板SNSで得た新たなトモダチから、様々な入れ知恵をされている夏子には、秋子の常識的手段は意味をなさないからだ。

ささいなきっかけで「苺ショートケーキ」しか食べない宣言をさせることができた秋子は、本当に夏子にそれしかださなくなった。
もともとマリー・アントワネット的な気質の夏子は「ご飯なんかよりもケーキのほうが、卵や生クリームや小麦粉やなんかが入っていて健康にいいのよ」などというのが常だった。スポイラーなしで突っ走るチバラギあたりの改造車のような娘なのだ。

さて、それから3カ月後。
「ああ、この栗ご飯、美味しい」
「この、さんま、日本酒に合う」
「松茸の土瓶蒸しも美味しい」
秋子がこれみよがしにご馳走を食べていても、夏子は黙ってストロベリーショートケーキを黙々と食べていた。
でも、内心は心穏やかでない。いくら大好物だといってもさすがに飽きてきていた。
秋子のほうだって、夏子に食べさせるストロベリーショートケーキを様々なところからお取り寄せし続けるのは、かなり辛いものがある。
しかし、先に音をあげたのは夏子だった。
「おねえちゃん、199番」
「199番のショートケーキが欲しいの?」
「違う!! 199番」
秋子は何を夏子が言っているのかわからない。
そうするうちに夏子の顔が赤くなり、そして青くなった。
秋子は携帯をとりだし「あ、救急車一台お願いします。こちらは板橋区・・・」
さすがにウルトラ偏食(量は無制限)も1年も続くと、デブデブになって若年性糖尿病になってしまっていたのだ。
一命は取り留めたが、夏子は病院に入院することとなった。
やっと、恋人を家に呼んで手料理をふるまうことができる。
こうして彼女の恋のパズルの最後のピースがきれいに収まったのだった。

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