ショートショートバトル 5KBのゴングショー第218戦勝者

「めいじいめ」

おのせわりかい


ある国が滅んだ。滅んだ理由は、国民が一人残らず死んだからだ。
恐ろしい疫病の発生なのかと近隣国は警戒し、現地に調査隊を派遣した。
しかし、それらしき兆候は発見できない。
死体を解剖しても、原因不明だ。
死因が特定できない。どの固体も別々の死因なのだ。
中性子爆弾を使用したものがいるのではないかという疑惑も、多数の解剖の結果否定された。


そして数ヵ月後、多国連合調査団の結論は以下のようになった。
人は毎日死んでいくが、それがこの地域では一時におきた。
根本的な原因は不明である。不気味なことではあるが、数ヶ月たっても他の国に影響がまったく見られないので、事態は収束した。

それから数年後。
正体不明の原因で滅んだ国ではあるが、地の利は悪くないので、他国から開発団がやってきた。
しかし妙なことに、すでに他の開発団がきていて、驚くほどその事業を進めていた。
「これは一体全体どういうことなんだ?」
開発団の一人は疑問に思って、高層ビルディングの中に入っていくと、
「ようこそ XXXXへ」
というアーチ型のオブジェが受付の上に見える。
「XXXXだって?」
XXXXというのは、かつてこの地にあった国の名前である。
「あの、御社はXXXXという名前の会社なのでしょうか?」
「はい?」
美しい受付嬢は、少し怪訝な表情を浮かべたが、聞き間違いだとでも思ったらしく、
「こちらはXXXXの総理府です。どういったご用件で・・・」
なくなった国の政府機関のビルが新築されていて、そこで働く人間がいるなんて・・・。
不気味なものを感じた開発団の一員は、
「すみません。建物を間違えたようです」
と言い残すと、急いで自分たちの国に戻った。

滅んだXXXX国がいつの間にか復活したという話に半信半疑だった各国も、前回の調査団のメンバーに経済関係の官僚を加えた新調査団を派遣した結果、次のような結論に達した。

XXXXの国民はすべて死んだわけではなかった。残った国民による不屈の努力によって、従前よりも活気のある国を再興したのである。

しかし、誰もがそれを真実だとは思わなかった。
隣国ではXXXXはゾンビの国になった。襲ってくる前に打つべし。そういう世論が高まりつつあった。
XXXXは他国のニュースなどに興味がまったくないのか、政府もそういう言いがかりのような風潮を黙認しているようだった。
そうこうしているうちに、ゾンビの国という噂は世界を席巻し、XXXXに連合軍が派遣されるにいたった。
激しい攻撃の末、ほぼ焦土と化したXXXXの国土。
しかし、本当の恐怖はこれから始まる・・・。
連合軍に参加した軍隊がそれぞれの国に戻ると、どうしたことか、自国の主要都市を攻撃し始めた。
派遣軍に感化されてしまったのか、他の部隊も一緒になって攻撃を続ける。
狂ってしまったとしか思えない行動に、国民は逃げ惑う。
しかし隣国でも軍隊が狂ってしまっている。
こうして、正体不明の第三次世界大戦が発生し、世界は滅んだ。

終わり

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