ショートショートバトル 5KBのゴングショー第212戦勝者
ききみみずく
そういえば、昨日の新聞に「 」とあった。 「 」の「 」って、どういう意味なんだろうか? そういう質問を、友人にしたら、 「そんなことも分からないの?」 と大声で言われて、赤面させられた。 さて、赤面したのはいいけれど、元に戻らなくなってしまったのは、困った。 赤面が通常の顔色だと、 「熱でもあるんですか?」 とか 「酔っ払ってるの?」 とか、いらぬ心配を(心配なのか)されてしまい、日常生活に支障をきたす。 そのせいで「 」に対して敵意を抱くようになってしまった。 しかし、考えてみれば、「 」は別に悪くない。耳慣れない言葉だっただけだ。 「 」を編み出した人物こそ、敵視すべきだ。 しかし、あの同僚が、これみよがしに大声で叫ぶように指摘しなければ、こんなことにはならなかったのだ。 と、近所の古老(そう言うのが相応しい人なのだ)に話すと、 「なるほど・・・そうかもしれん」 といつものように同意してくれて、心の平安が訪れた。 自分でも単純だと思う。 いわゆるボケ老人というのは語弊があるが、それに近い人に同意してもらって安心するなんて・・・。 しかし、古老のことろには、わたし以外にも相談に来る人は多い。 なにを相談しているのかは分からない。 入り口ですれ違うだけだから。 すれ違う際、出ていく人は安堵感を漂わせ、入ってくる人とは対照的だ。 すると、きっと古老はある種のカウンセラーよりも有能なのかもしれない。 終 |
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