ショートショートバトル 5KBのゴングショー第209戦勝者

「魔トリック巣」

ねお2010

最近、大流行のRPG「MT」。
こいつは品薄で、なかなか手に入らない代物だった。
それをまぁ、いろいろな手段で手に入れたわけだが、はじめようとするとゲーム機が壊れやがった。

ざけんな!!

とゲーム機を床に叩きつけると、内臓を撒き散らして、そいつは死んだ。
怒りに任せてゲーム機を壊しちまったせいで、肝心の「MT」がプレイできない。
しょうがないので、友人に貸してくれと頼むと、
「えー、いま、俺もやってる最中だから」
「じゃあ、終わったら貸してくれよ」
「いやだよ」
そっか。しょうがない。
あきらめて、とぼとぼ歩いていると、
「もしもし、そこの坊や」
と俺を呼ぶやつがいる。
うぜぇ。
そう思いながら見上げると、
「これを君にあげよう」
とゲーム機を差し出していた。
相手は胡散臭い感じがしたけど、まぁ、いいか、「MT」を今しないで、いつするってんだ。
「ありがとう、おじさん」
「おじさんじゃなくて、お兄さんだけどね」
なんかイミフなことが聞こえたが、俺は一目散に帰って、自分の部屋に入った。
さっそくパッケージから取り出した「MT」をゲーム機に突っ込んで、起動する。
あっという間に見たこともないゲーム空間がそこに現れ、俺はその世界に飛び込んだ。

姫を助けろ
世界を救え
なぞを解け

そこらへんはありきたりなことだが、まぁそれぞれのミッションは今までにない複雑さで、さすが構想10年+製作10年の大作であるな、と中ボスと戦いながら思う。

途中のキャラの名前が、どれもこれも知り合いに似ているところが笑えるが、まぁ、それもご愛嬌だろう。

そんなこんなで、まぁいろいろあって、ラスボスにたどり着いた。

このドアの向こうにはいったい何が・・・。

ドアを開けると、爺さんが一人。

「おい、おめぇ誰だ?」
「わたしはアーキテクチャー」
「あきて?」
「アーキテクチャー」
「なにもんだ?」
「この世界の設計者だ」
「ツーことは、てめぇがラスボスだな!!」
こぶしを握り締め、気合を入れると、
「ま、待て、わたしは設計しただけだ」
「せっけ?」
「設計、つまりこの世界の枠組みをつくり、しかるべき場所にしかるべきものを設置するようにと・・・」
「なにごちゃごちゃ言ってんだ。ラスボスじゃないなら、どけ!!」
やつの後ろにはドアが二つ。
「・・・よろしい。その前にドアの意味を教えてやろう」
偉そうなやつだ。ドアをあける前に一発お見舞いしてやろうか?
「右のドアは「姫」に通じる道へのドアだ。左のドアがラスボスへのドアだ」
「あんがとよ。じゃあドケ!!」
「ま、待て」
「まだなんかあんのか?」
「ドアはどちらかひとつしか選べない。片方を開けたら、もう片方のドアへの道は消える」
なに言ってんだ。最終目的は三つなのにドアの先には一つしかそれがないなんて。
「さぁ、どちらを選ぶかね」
どちらって、それじゃクリアしたら、また最初からここまでやり直しじゃねぇか。
「さぁ、どちらを選ぶかね」
爺さんは人を小ばかにしたような声でそう繰り返す。
「さぁ、どちらを選ぶかね」
「うるせぇ、くそ爺!!!」
俺は思わず爺さんに一発お見舞いしてしまった。
それほど気をこめたわけじゃないのに、爺さんは吹き飛んで消え、ドアが両方開いた。
かと思うと、ドアから「姫」が出てきて、
「おめでとう!!」
といって抱きついてきた。
ラスボスのほうのドアの奥は、なんだかわからないが、大爆発。遠くの轟音と閃光が見えたが、ドア自体が消え去った。
「さぁいきましょう」
「は?」
姫に引っ張られて、その小部屋を抜けると、エンディングになった。

「今ので終わり?」
俺は納得いかず、そう呟いたが、もう一度やり直す気にはなれなかった。

ゲームエンド

[前の殿堂作品][殿堂作品ランダムリンク][次の殿堂作品]


[HOME][掲示板][リンクの小部屋][図書カードのあたるメルマガ][エクセルマクロ・CGI制作代行]