ショートショートバトル 5KBのゴングショー第185戦勝者
カーン
この世をお作りになられたのは、神様です。 神がいなければ、この世はなかったのです。 今、世の中は乱れきっています。 しかし、きっと神が、神がそれをただしてくれるでしょう。 という新興宗教なのか、なんだかわからないが、そういった類のチラシを街角で押しつけられた。 某宗教的な押しつけがましさが、そこからは漂っていた。 私は、それを丸めてくずかごに捨てようと思ったが、残念なことに、セキュリティー上好ましくないと言うことで、どこにもくず入れがなかった。 しょうがないので、グシャグシャに丸めてポケットに突っ込んでおく。 そして、そのことを忘れ去った。 数日後。 わたしは、UFO?、たぶん、そういわれると思われるものの中にいた。 謎の円盤UFOと昔よく言われていた、あれだ。 宇宙人がやってきて、人語ではない言語で話しかけてくる。 「p9123phdfpwhrg2452」 「???」 銀色の、そうB級SFでよく見る作りの宇宙船と思われるものの中で、私は全裸で冷たい台くくりつけられている。天井のミラーにそれが映っていて、いやでも自分の境遇を思い知らされる。 彼らの冷たい滑った触手のようなもので、触られると、ゾクゾクと鳥肌が立つ。 「p1934うふぃあdさいhr4」 「うぇ4qえ」 「おいうfpgw9r04う」 「ph34909qいぇ4」 数名?のエイリアンたちは、何を言ってるのかわからないが、協議しているようである。私をどうするつもりだろうか? 「あー、もしもし?」 ?! 「この言葉が理解できるかね?」 彼らから人の言葉が聞こえてきた。しかし顔と思われるところには、口と呼べるようなものは存在しない。 テレパシーとか言うものなのだろうか? 「理解できない場合は、しょうがないので・・・」 「理解できます!」 私は慌ててそう言った。 「よろしい。では、これを見たまえ」 それはあのチラシだった。一体全体どういう意味が・・・? 「君は、この内容を理解したかね?」 理解? そりゃ、普通に学校で習う範囲の言葉だから・・・。 「ええ、理解しました」 「qウィエhえうq」 「34r245th65」 「8hんっmwlwp8」 「3243456y5」 彼らがまた激しく?言い合いをする。 よく見ると、若干それぞれのエイリアンは違うように見える。 「では、それを君は信じるかね?」 信じるも何も、馬鹿げたチラシじゃないか。 そう思った私は、「待て」という声が聞こえたような気がし、 「・・・そうですね。神というものが存在し、世界を作られたのなら、きっと世界を救ってくださるでしょう。そして、その世界を構成する一部である私も救ってくださると思います」 「なるほど・・・」 エイリアンの納得するようなつぶやきの後、私の意識は途切れた。 この話は、まだ誰にもしたことがない。 彼らが「神」だったのか、インベーダーだったのか。 それは分からない。 でも、誰も信じてくれない与太話には違いないだろう。 |
[前の殿堂作品][殿堂作品ランダムリンク][次の殿堂作品]