ショートショートバトル 5KBのゴングショー第174戦勝者

「禁断の恋」

奈々

 俺に彼女が出来てから、妹の様子がなんだか変だ。3つ下の妹は今年 17才になる。
彼氏が出来てもいい年頃なのに、そんな素振りもないし気配すらない。兄の俺が言うのもなんだが、妹はかなり可愛い方だと思う。
「お前、休みの日くらいデートでもしてくれば?」と俺が言うと「そんな人なんかいないもん。」といい返す。
「お兄ちゃんは?また今日もデートなの?ねえ、どこに行くの?私も行きたい!いいでしょ?」 おいおい、
デートで妹連れて行くヤツなんかいるかよ、、。「何言ってんだよ、ダメに決まってるだろうが。」そう言うと妹は泣きそうな顔をしてうつむいた。 どうしたって言うんだろう。最近やたらと俺にベッタリだ。ブラザーコンプレックス?いやいや、今までそんな事なんかなかったぞ。

 俺に恋しているのか?禁断の恋ってヤツ?やめてくれ!ドラマの見過ぎだぞ。そんなことあるわけないじゃないか。でも俺に彼女が出来てからなんだ、妹の様子がおかしいのは。いつも何か言いたげで そのくせ目が合うと不自然に視線をそらす。
 やきもちをやいているのかな。それにしても、、。いけない考えが頭の中を駆け巡る。その時、うつむいていた妹が口を開いた。   「お兄ちゃん、、。実は、、実はね、あたし、、、。」 ドキリとした。何を言い出す気だろう。妹は少し顔を赤らめてうつむきながら唇を動かし続けた。「お兄ちゃん、本当はわかっているんでしょう?」「な、な、何を!? 」 俺は心臓が止まりそうだった。
「私の本当の気持ち!!好きなの、どうしてもあきらめられない!ごめんなさい、わかってるの。そんなのいけない事だって。そんなのおかしいって。実るわけない恋だって!でも仕方ないの、止められないの。彼氏が作れないのもそのせいなの、、。この気持ち、どうしたらいい? 」 頭が真っ白になった。どうしたらいいって、、。汗が背中を伝った。その時、「ピンポーン」と玄関のチャイムが鳴った。
 彼女が迎えにきたのだ。映画に行く約束をしていたんだ。真っ白になった頭の中に記憶がよみがえってきた。
「いらっしゃい、部屋にいるわよ。入ってちょうだい」母の声が1階から低く響いた。「トントントン」と彼女が階段をあがってくる。
ガチャ...... 俺の部屋の扉が開いた。部屋には妹に告白された兄と禁断の恋に苦しんでいる妹が立ち尽くしていた。
妹は彼女と俺の顔を交互に見つめると、一気に気持ちを吐き出した...... !!

「私、このまま こんな気持ちじゃいられない!お兄ちゃんと彼女が仲良くしているところなんて、もう見ていられない!告白させて!!」
「 やめろーー!!  」
もう終わりだ。彼女との関係もこれで終わりだ。頭を抱えていると妹は彼女の目の前に立ち、瞳を潤ませ彼女を見あげた。「 ......好きなんです。おかしいって思うけど、この気持ち、もう止められないの 」

ー 妹が告白した相手は俺ではなく 俺の横にいた彼女だった...... ー

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