ショートショートバトル 5KBのゴングショー第165戦勝者

「社長の流儀」

たそがれイリー

 社長はとある本を懐に忍ばせていた。
『褒めると社員は伸びる』と書かれていた本には、社長が一夜漬けで調べたフレーズの部分にラインが引かれていて、社長は社員に見えないように、使いたいフレーズを見ては、社内を歩き回って1人1人社員を褒めて回った。
「君の仕事への取り組み方はいいな。とても前向きな姿勢だ。やる気がみなぎっているよ」
「残業ばかりもいいが、たまには自分を大事にしろよ。我が社のために君が必要なんだ」
「へこたれたっていいんだ。失敗は成功の元だからね。責任は私が負うからね」

 社長の言葉に、社員は素直に反応した。
「ありがとうございます」
「これでやる気がおきました」
「お気遣いありがとうございます」
 
 その言葉を聞いて、社長はもちろん喜んだ。これなら効果ありだな・・・早速書店に行って新たなボキャブラリーを増やさないといけないと考え、 早速近所の書店に向かった。
 その手の本は、流行のジャンルゆえ、選ぶのに困るぐらい、関係書籍はあった。
 悩んでいる社長を、書店の店主が呼び止める。
「社長、この本がお勧めですよ。最近、どんな世代にも売れてるんですよ・・・特に、若い世代に」
 若い世代と聞いて、社長はその本に飛びついた。これならきっとうちの社員にも効果有りだろうと思った。

 社長が手に取った、その本の表紙には『社長に気に入られる答え方』と書いてあった。

作者のサイト:http://tasogare.goraikou.com/

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