ショートショートバトル 5KBのゴングショー第149戦勝者

「永遠の若さ」

たそがれイリー

「そなたの願いを聞いて進ぜよう」
 神は眼前で祈り続ける女性に語った。
 女はゆっくりと顔を上げ、己の願いを語った。
「永遠の若さが欲しいのです。欲張りな私をお許し下さい」

 神はしばし黙考した。
 そして、何かを悟り、次のように言った。
「永遠の若さを与えてやることはできる。しかし、そのためにはお前は義務を背負わねばならぬ」
「義務・・・ですか」
「そうだ。永遠の若さを背負うからには、お前がその若さを使い、この国の国民すべてに愛される存在であり続けなければならない。それがおぬしに、できるかな」
「やります。このまま老化し、朽ち果てていくのはイヤです」
 女は即答した。
 その言葉を聞き、神はもっていた木の杖を振りかざし、女の眼前に差し向けた。
「この女に、永遠の若さを!」

 女は目が覚めた。
 女の目の前には、週末の茶の間らしき光景が広がっている。
 そして、自分を見つめる無数の目。老人も、子どもも、あらゆる世代が自分を見つめていた。

 ”願いは叶えた。さっそく、義務を果たすのじゃ”
 女の頭の中に、神の声がこだました。
 女は訴えた。早速義務をと言われても、何をすればいいのでしょう?と。
 ”最初じゃからの。1回だけ教えて進ぜよう。目の前でお前を見つめている、多くの民に、これからわしが言う言葉を、明るい笑顔と共に伝えるのじゃ”
 して、どんな言葉で?
 女は神に問うた。

 ”サザエでございます!”
 神は裏声で女らしく叫んだ。

作者のサイト:http://tasogare.goraikou.com/

[前の殿堂作品][殿堂作品ランダムリンク][次の殿堂作品]


[HOME][小説の部屋][感想掲示板][リンクの小部屋][掲示板]