ショートショートバトル 5KBのゴングショー第146戦勝者

「狂人たちの食卓」

中原一機

気づけば、僕は薄暗い部屋の中にいた
非常に狭く、必要最低限のものしかない部屋は殺風景という言葉がぴったりだった
「出ろ」
男に言われると、分けも分からない僕は黙って言う通りにした
暗い廊下を男に連れられ歩いていくと、これまた狭いダイニングルームへ着いた
椅子が6つあって、その内5つには人が座っていた
僕はとりあえず、空いている椅子に座った
「少し待ってろ」
男はそう言うと、その場から立ち去った
静か・・・ではなかった
既に座っていた6人はそれぞれ会話していたからだ
すると、隣に座っていた女が、僕を見た
「えひ、えひ、ひひ、ひひひ、ひは・・・」
女はいきなり痙攣したかのように笑い出した
僕もとりあえず笑ってみたが、割と引きつっていただろう
すると、前に座っている女がこっちを見た
「・・・・・・・・・」
前の女は隣の女とは対称的に、物凄く静かで、その大人しい感じが逆に不気味であった
「つまり、人間をぶっ殺す方法はいくらでもあるってことだよ!!」
物騒な話を大声でしている男が僕を見た
「お前も殺す」
男はそう言うと、置いてあった水の入ったグラスをいきなり僕に投げつけた
幸い、グラスは僕に当たらなかったが、破片が手に刺さって、血が出た
グラスを投げつけた男はまた物騒な話を誰にするわけでもなく話し始めた
気づくと、僕の手を50代くらいの男が持っていた
「血、ですね」
男はいきなり、口を開け僕の手にしゃぶりついた
あまりの気持ち悪さに男を振り払うと、隣の女はまた気色の悪い笑い声をあげた
僕が狼狽していると、シュッとした感じの青年が優しく僕に語り掛けた
「耐えられない?でも、少しの辛抱だよ」
何だか、久しぶりにまともな人間と話した気がする
青年はニコッと笑うと、グラスの破片をいきなりわしづかみにした
「危ないよね、ガラスの破片」
そう言うと、握りこんだガラスの破片をその場に捨てた
僕は眩暈がした
一体、ここは何なんだ?こいつらは何なんだ?そして僕は何でここにいるんだ?
しかし、いくら考えても答えは出ない
いつ終わるかも分からない、この食事会を眺めているしかないのだろうか?


「ククク・・・、この世を狂人たちの世界にしてやる、そのためにもまずあのまともな男を狂人にまみれた世界に置くことで、どう変化するか、じっくり監察させてもらおうか」
謎の男は、監視カメラの映像を見ながらほくそ笑んでいた

[前の殿堂作品][殿堂作品ランダムリンク][次の殿堂作品]


[HOME][小説の部屋][感想掲示板][リンクの小部屋][掲示板]