ショートショートバトル 5KBのゴングショー第131戦勝者

「こうするしか、なかった。」

岡谷

私はベッドの上にいた。

他に何もない、白い部屋。

もしかしてここは、病院・・・・・・なのだろうか?

何でこんなところにいるのか。

私には全く分からない。


分かるのは、私がベッドの上にいるというコト。

・・・・・・そして、身動きがとれないように、縛り付けられているらしいというコトだけだった。


しばらくして、『誰か』が入ってくる気配を感じた。

その誰かは、しばらく私を見ていたようだ。


そして。

決意したように、歩いてきて。

ベッドにいる私を、覗き込んだ。


・・・・・・悲しそうな、目で。


その、『誰か』を、私は知っていた。

忘れるはずもないし、知らないはずもない。


だってその人は、『何より私を愛してくれる人』なのだから。


それからその人は、何かを手に取った。


そして・・・・・・。


・・・・・・私は、腕に鋭い痛みを感じた。


朦朧としてくる意識の中。

私は声を聞いた。


『すまない・・・・・・。私にはこうするしかなかったんだ・・・・・・』


私の意識が途切れようとする。

最後の力を振り絞って私はその人を呼んだ。


『パパ・・・・・・』


そういえば、パパは病院をやってたっけな・・・・・・。



・・・・・・数時間後。

ある場所で、こんな会話がされていた。


「・・・・・・先生」

「・・・・・・こうするしか、なかったんだ」

「・・・・・・あのですね。お嬢さんが、『歯医者大嫌い!!!ってものすごく暴れる』からといって、麻酔打ってまで連れてくるのは、いくらなんでもやりすぎだと思うんですけど・・・・・・」

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