★月の裏で会いましょう★(2/4)

「ねぇミドリさんってどこに住んでるのかな」
「知らない」
私はそっぽを向いて言った。
「友達なんだろう」
私はエイジの顔をキっと見た。
「ミドリがどこに住もうがエイジには関係ないじゃない!!」
「何怒ってんだよ」
「さぁ何ででしょうか。自分の胸に聞いてみなさい。さよなら」
「おい、アッコ」
私は小走りで出口に向かった。二十歳の誕生日に彼氏にこんな仕打ちを受けるなんて。
ドアを勢いよく開けて店の外に出る。地上に続く階段を一気に駆け上がった。涙が溢れてきた。
階段の出口で人にぶつかった。
「ごめんね。大丈夫?」
背の高い男の人だった。
「いえ、私が悪いんです」
顔を上げて彼の顔を見た。長髪の甘いマスク。私の理想のタイプ。私はじっと彼の顔を見てしまった。
「どうかした?」
「いえ、済みませんでした」
彼から目をそらしうつむく。
「そういえばどこかで会わなかったかな?」
その言葉にまた彼の方を見ると、彼はやさしく微笑んでいた。しびれるような笑顔。もう彼の魅力に参ってしまった。
「月の裏側だったかな」
月の裏側だって。ナンパの口実にしては洒落てる。
私がぼぅっと彼の顔を見つめていると
「どこか行こうか」
と彼は言った。
私は黙って頷いた。
彼は店の側に停めてあるグリーンのオープンカーの方へ歩いていった。私はその後について行く。
車はオープンカーにしては大きかった。右ハンドルだけど確かアメリカの車だったと思う。
「さぁどうぞ」

続き


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