★月の裏で会いましょう★(1/4)

「アッコ、エイジ君と喧嘩したんだって」
何を食べようかなと学食のショーケースを眺めていると、ヒロミが好奇心満々の目をして話しかけてきた。
「どうしてあんたがそんなこと知ってんのよ」
「だってあんた達がブルームーンで喧嘩してたの、ユキが見たって」
なんか食欲なくなった。今日は野菜サンドにしておこう。
「で、何が原因?」
「お昼食べながら話すから、とりあえずあんたも自分の食べるの持ってきなさいよ」
そう言って私は食券を買ってカウンターに向かった。
私が窓際の席で待っていると、Bランチのトレイを持ったヒロミがやってきた。彼女はテーブルにつくと、お預けを解かれた飼い犬のように、待ってましたとばかりに言った。
「で、何なの」
「たいした理由じゃないわ」
私は野菜サンドを一口かじった。学食のサンドイッチじゃシャリっという歯ごたえは望むべくもない。
「もったいぶらずに言いなさいよぉ」
「人の話ばっかり聞いてないで、あんたも彼氏作りなさいよ」
「そんな事は今はいいじゃない。今はアッコの話を聞いてるのよ」
ヒロミはランチに手も付けずに話を急かした。
私は軽く溜息をついて、それから話を始めた。
「あの日は私の誕生日で、エイジと一緒にイタリアン・レストランで食事した後、ブルームーンに行ったの……」


「アッコ、さっき会ったコ、誰だよ」
エイジはスツールに座るとすぐにバーテンダーにバーボンを頼み、それが終わると同時に私に言った。
「ミドリ、私のガッコの友達。彼女がどうかした?」
「ミドリさんかぁ」
私の質問には応えずエイジはそう呟いた。彼の顔を見ると、ぼぅっとした目で宙を眺めている。口元には馬鹿っぽい微笑みを浮かべて。さっきまでサイコーだった私の気分は一気にサイテーに急降下した。

続き


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