★大凶★(2/4)

弘美は自分の引いたおみくじを眺めつつニタニタしていた。
「何かいいこと書いてあったか?」
そう言いつつ覗き込むと弘美はおみくじを手の中に隠してしまった。
「なんで隠すんだよ」
俺は文句を言った。
「こういうのも人に見せたらダメになるのよ」
「そうかなぁ。見ろよ、向こうのカップル。お互いのおみくじを見せ合って楽しそうにやってるじゃないか。俺たちもあんな感じでやろうよ」
「そんなことより早く帰りましょう」
「なんでだよ。別にそんな急ぐ必要ないじゃん」
「いいから、いいから」
そう言い終わってから弘美はまたあの笑みを浮かべた。
しかし根が単純な俺はあまりそのことを詮索することもなく彼女の言葉に従うことにした。
台風で部屋が水浸しになってから居候させてもらってる(と弘美は言い張るのだが、俺は同棲だと思っている)弘美の1LDKのマンションの部屋の玄関を開けると、見慣れない靴が二足あった。が、俺はあまり深く考えずにリビングに入った。
するとそこには見慣れない中年の男女がリビングの応接セットにいた。
「君がタケシ君かね」
コレもんかと思われるイカツイ感じのオッサンはいきなりそう切り出した。
「そうですが、そう言う貴方は……」
ビシッと正装したオッサンに俺は少し緊張気味にこたえた。
「弘美の両親でございます」
オッサンの隣に座るちょっと派手目のオバサンが、衝撃的なことを簡単な挨拶でもするような調子で俺に告げた。
「り、りようしん?。ど、どういうことだよ、弘美」
「いやね、初詣に一緒に行った帰りに彼氏を連れて部屋に戻るから、顔合わせしましょうって、弘美が言うものだからね」
オバサンはそう言った。
連れて帰るって……同棲してんのに……。でも確かに俺の荷物ってボストンバック一つで収まる程度しかないから、男が一緒に住んでるってようには見えないかも。
「で、君は弘美のことを真剣に考えてくれてるのかね」
「まぁお父さん、当然そうに決まってるじゃないですか。ね、弘美。そうなんでしょ」
お袋さんは百万ルクスぐらいの明るさで一人盛り上がっていた。確か弘美は一人娘だったはずだ。お袋さんは娘の結婚(結婚?、なんか心構えも何もなかったのに周りの雰囲気に流されてしまってるような……)に浮かれまくってるようだが、親父さんは可愛い一人娘を人さらいがさらっていくかのような険しい顔つきをしている。
どう答えたらいいものか。

続き


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